生地にある糸のかたまりは不良品?スラブとネップの違いは何?
2023/05/25
素材のお話生地を見た時に、糸がほつれているようなかたまりになっているようなもの、見たことありますよね。
「なにこれ、不良品でしょ!」
と、怒りたくなることもあるかと思いますが、ちょっと待ってください。
それは、ネップやスラブと呼ばれる特有のものなんです。
上写真は、ネップに近い部分ととスラブがまじりあった生地で、どちらも楽しむことができるちょっと変わった生地です。
まずは、ネップから説明したいと思います。
ネップとは、糸を作るときにできる糸の節です。
「なんのことやら?」
糸を作るときには、2種類の方法があり、長い繊維を伸ばしながら細くして糸にする長繊維(ちょうせんい)と、短い繊維をつなぎ合わせながら細くして糸にする短繊維(たんせんい)があります。
繊維を伸ばしながら細長くしたり、繊維をつなぎ合わせたりする際に、どうしても太さがまばらになってしまい、布にした際に、糸の太くなった部分が表に出てしまうことでできる糸の塊のようなものを、ネップといいます。
生地にした時にネップになる糸のことをネップ糸といいます。
どうしても出来てしまうかたまりとは違い、糸を紡ぐ際にわざとかたまりを作り、ネップにしている生地もあります。
有名どころは、シルクネップという生地です。
これは、シルクのネップ糸を使用して生地を織ったもので、高級な衣服やスカーフなどに活用され、親しまれています。
ネップは、どちらかというと、麻などの天然素材に多くみられますが、シルクのように意図的にネップを取り入れた糸を使う場合など、高級な生地にも多くみられるようです。
また、生地ではないのですが、わざと装飾を付けたり、太さを不均一にしたりなどして作られた毛糸があり、編み上がりにネップのような風合いが出るのを楽しむこともあります。
そのような毛糸をネップヤーンといいます。
では、スラブとは何でしょうか。
ネップと同様に、繊維を伸ばしながら細くしたり、繊維をつなぎ合わせたりする際に、太さをまばらにすることで、糸自体が太くなったり細くなったりし、織り目が均一にはなっていないことをスラブといいます。
生地にした時にスラブになる糸のことをスラブ糸といいます。
スラブも天然素材に多くみられますが、天然素材に限らず、風合いを出すために、様々な生地に取り入れられています。
違いがわかりましたか?
ネップもスラブも糸の太さが不均一だということはわかりましたが、その違いが難しいですよね。
ネップは、糸がかたまりになっているものをいい、スラブは、なだらかに糸が太くなったり細くなったりしているものをいいます。
上写真のようなネップとスラブが混じりあっている生地はよくありますが、上写真の生地は、横糸のみを使用した生地なので、違いがとても分かりやすかったのではないかと思います。
このように、ネップやスラブは、風合いとして楽しむものの場合が多いですが、ぱっと見、傷のように見えるという方もいますよね。
傷のように見えるからと嫌う方もいらっしゃるかもしれませんが、天然素材の生地の風合いとして捉えるので、「不良品だから取り換えて」と言っても、なかなか取り換えるというわけにはいかない場合が多いです。
ただ、わざとネップやスラブにしている生地とは違う場合、程度によっては、B品になることもあるようなので、生地や天然素材の製品を買う際には、自分で気にならない範囲なのか確認して買うといいかもしれないですね。
最後まで読んでくださり、ありがとうございました。