綿とコットン何が違うの?夏は涼しく冬は暖かい綿の特徴
2023/10/05
素材のお話Tシャツや下着などによく使われている綿。
当店の帽子にも綿はよく使われていますが、よく似た生地でコットンと品質表示に書かれている場合がありますよね。
「あれ?同じもの?何か違うの?」
という疑問を感じたのと同時に、これだけ馴染み深い素材なのに何も知らないことに気づき、調べてみました。
結論からお話しすると、綿とコットンは実は同じものです。
コットンは、英語の「Cotton」をカタカナ表記にしたもので、日本語に略すと綿のことを指しています。
家庭用品品質表示法の「繊維製品品質表示規定」においても、綿は、「綿」「コットン」「COTTON」の中のどれかを表記するように書かれています。
ようするに「同じものだからどれで表記してもいいよ」ということですね。
同じもののような感じはしたんですよね。
柔らかく紡いだり、硬く紡いだりすることで用途を使い分けることができる扱いやすい素材なので、様々なものに使用されています。
綿(コットン)は、アオイ目アオイ科ワタ属に属する植物であるワタの種子毛から採れる繊維のことで、日本で衣類に使用されている天然繊維の約4割を占めています。
その中でも3年以上合成化学物質による肥料などを使用していない土地で、有機栽培によって育てられたワタから採れる繊維は「オーガニックコットン」と呼ばれています。
種子毛とは、ワタの種を守っている白いふわふわした部分のことをいい、木綿とも呼ばれています。
本来は、木綿は種のことを指し、綿は白い繊維のことを指していましたが、現在は、木綿と綿は、同じ意味の言葉として使われているようです。
ただ、糸や生地など加工済みのものを木綿、製品の素材を綿と使い分けることもあるようなので、違うものと勘違いをしてしまいがちですが、その使い分けに対する基準はなく、その時々の響きなどで使い分けられています。
ワタの種子毛からは、短い繊維と長い繊維が採れますが、長い繊維である長繊維のみを使用して糸を撚ります。
植物の種類によって繊維の長さが異なり、短い繊維の「短繊維種」、長い繊維の「長繊維種」、短繊維と長繊維の間の長さの「中繊維種」に分けられます。
一般的に、短繊維種の綿(コットン)は10~20mm前後の毛足の短い繊維、長繊維種の綿(コットン)は30mm以上の長い繊維、中繊維種は21~28mm前後の長さの繊維というように分かれています。
それぞれの種類の綿(コットン)は特徴が違うため、それぞれ違った形で使われています。
・短繊維種は、安価で、他の種類からみると繊維が短くて太くて丈夫です。
しなやかさを感じないという欠点があります。
短いため糸にするには向いていなく、クッションの中綿などに使用されています。
・長繊維種は、他の種類から比べると高価で、繊維が長くて柔らかいのが特徴です。
しなやかさで絹のような光沢感があります。
繊維が細いので、細い糸を作ることができ、滑らかな肌触りの生地に仕上がります。
綿(コットン)の繊維は、長ければ長いほど希少価値が上がるので、短・中・長繊維種の中で、長繊維種が1番、高価ということになります。
長繊維種の中でも、繊維の長さが35mm以上の繊維は「超長綿」といい、「綿のカシミヤ」と呼ばれるほど、高級な綿です。
超長綿の中でも代表的なのは、世界三大綿として有名な
・アメリカ南西部の「スーピマ綿」
・エジプトの「ギザ綿」
・中国の「新疆綿(しんきょうめん)」
の3種ですが、現在、ギザ綿の生産量が減少し、スーピマ綿と新疆綿が生産量のトップ2となっています。
・中繊維種は、ごく一般的に流通している綿(コットン)で、肌触りはすごく良いわけではありませんが悪くもなく、私たちにとって、1番なじみのある種類です。
綿花栽培の中心ともいえる繊維種で、Tシャツ、デニム、シーツ、タオルなど幅広く使用されています。
一口に綿(コットン)と言っても、いろいろな種類があるんですね。
それすら知らなかったです。
昔、日本では、蚕の繭から採れる繊維のことを綿と呼んでいたようです。
今でいう絹のことです。
しかし、大陸から木綿が伝わり、その丈夫さや使い勝手の良さから、綿が広く知られるようになったことにより、徐々に変化していき、蚕の繭から採れる繊維は絹と呼ばれ、ワタから採れる繊維は、綿・木綿と呼ばれるようになっていったようです。
絹のことを今でも「真綿」と呼ぶのは、そういった昔の名残が残っているためなんだとか。
絹のことを綿と呼んでいた時代があったなんて、ちょっとびっくりですね。
では、綿とはどのような特徴を持っているのでしょうか?
綿といえば、なんといっても「夏は涼しく、冬は暖かく」ではないでしょうか。
季節に左右されることなく着ることができる素材として有名ですよね。
このくらいであれば、私も知ってはいましたが、では、どうして涼しくもあり暖かくもあるのか・・・よく考えたら不思議ですよね。
綿(コットン)の特徴として、吸水性・通気性・保温性の良さがあげられます。
夏に汗をかくと綿(コットン)が汗を吸水してくれ、その吸水した汗が、綿生地の内外の温度差によって発散しやすくなります。
汗をかいて発散した時に涼しく感じるのと同じように、綿(コットン)が吸水した汗を発散します。
さらに、綿(コットン)は、通気性も良いため、熱を外に逃がしてくれるので、涼しさを感じることができます。
また、綿(コットン)の繊維の中心部が空洞になっているので、空気を含んでいます。
マカロニのような感じです。
繊維の中に含んだ空気が体温で温まり、その温度を保つことができるため、暖かさも感じることができるわけです。
通気性の良さから熱を放出させる効果もあるので、上にジャケットなどを着ると、熱の放出を抑えることができ、さらに暖かく感じることができます。
そういうことだったんですね!
続いての特徴は、繊維の種類の中でもお話ししましたが、肌触りがよいということです。
もともと、綿(コットン)は種を守る立場にあるので、ふわっとした柔らかい繊維の質です。
短繊維種は、生地として扱うことがないので別になりますが、中繊維種以上になると、下着やTシャツなどのように、直接、肌に触れる衣類でもチクチクしにくく、敏感肌の方でも着やすい素材として親しまれています。
次の特徴は、耐熱性です。
綿(コットン)は、耐熱性に優れているので、アイロンがけをしやすい素材です。
デメリットとしてしわになりやすいという性質を持っているので、耐熱性に優れているのは、アイロンがけをする際に安心感がありますよね。
また、綿(コットン)は、染色しやすい素材としても有名です。
色が染まりやすく、どのような色でも綺麗に染まります。
染色の仕方は、糸を染める先染め、布を染める後染め、さらに製品に仕上げたものを染める製品染めがありますが、綿(コットン)は、どんな染め方でも染めることができます。
ただ、染まりやすいということは、色落ちしやすいというデメリットを持っているので、お洗濯をする際、最初の数回は、他のお洗濯物とは別にお洗濯をすることをお勧めします。
天然繊維全般に言えることなのですが、綿(コットン)は、吸湿性に優れているため、静電気が起きにくく、乾燥で静電気が起きやすい冬にはとてもありがたい素材です。
ナイロンやポリエステルなどの静電気が起きやすい素材と合わせて選ぶと、静電気が起きにくくなるので、おすすめな逸品です。
そして、作り手にとっても買い手にとっても喜ばしいのがお値段です。
綿(コットン)は、他の天然繊維に比べてお手頃なお値段で購入することができます。
リーズナブルな価格で購入することができる綿から高級な価格の綿まで、幅広くあるので、選択肢の幅を広げることができます。
とても取扱いしやすい素材だということがわかりましたが、もう少しデメリットがあります。
お洗濯などによって水分を吸収すると、乾く際に繊維も一緒に縮んでしまう場合があり、「せっかくのお気に入りの服が小さくなっちゃった」なんてことにもなりかねないので、気をつけたいところです。
ただ、霧吹きなどで水分を含ませながらアイロンをかけると、たいていの場合、もとに近い状態に戻ります。
ただ、縮んではアイロンをして元に~を繰り返していると、生地が傷んでしまうので、気をつけてくださいね。
耐候性に優れていないのもデメリットのひとつなので、日陰に干すことが推奨されています。
お洗濯の時には、少し気をつけなければいけないことがあるということですね。
まったく気にしたことがなかったです。
綿(コットン)は、誰もが知っている素材のひとつかと思いますが、こうして調べてみると、自分が綿(コットン)という素材について知らないことばかりでしたが、メリットがたくさんの素晴らしい素材だったんですね。
夏は涼しく冬は暖かく、綿生地を上手に活用してくださいね。
最後まで読んでくださり、ありがとうございました。