長かった冬も終わり? ついに春到来。
2014/04/25
日記外から聞こえる、社長のそんな言葉から、それは始まった。
その言葉に応えて、私、こと村上と、同僚の岸田が外に出てみると……。
「なんかよ、ここにアリの巣あるんだけどよ、たくさん出て来てて、これ、春っぽいだろ」
そこには、店先に立ち、地面を指さす社長の姿があった。
「あ、確かに春っぽいですね」
社長にそう答えたのは、いの一番に外に向かった岸田だった。
「こう、ワラジムシがいてよ、頑張って巣に運んでるんだよ」
なるほど。春らしい姿だ。四月になっても雪が降って、
来ない来ないと思っていた春は身近なところにあったのだ。
大の大人が道端にしゃがみ込んでアリの巣を覗き込む姿はあまりに異様だっただろうが、それどころではない。
「これ、ネタ一つ提供な」
社長、ありがとうございます。ブログに掲載させて頂きます。私は心の中で唱え、すぐに店に引っ込むと、カメラをひっつかみ、とんぼ返り。
さて、いざ撮影、と勇んで私はカメラを構えた。
と、そこで。
「昼頃運んでたんだけどな。さっぱりいなくなったな」
……今、夕方ですよね?
お分かりいただけだろうか。
社長、もっとクライマックスの時に呼んでもらえると助かります。
岸田と共に、途方に暮れる私である。
いや、しかし気を取り直せば確かに春は感じられた。
春なので夕日は綺麗だし、アリとて出てくるし、
こんなのも湧く。
断じて知らない人である。赤の他人だ。
どら猫帽子店インターネット業務担当、岸田という人間なんて私は知らない。
丁度銀行から帰って来た経理業務の沖村さんが、虫を見るような目で見ていたが、私は知らないふりをした。
みなさん。旭川にも春がやってきました。
「いい画像撮れなかったんですけど、どうしましょう、岸田さん」
「アリ合成しましょうか?」
そんな二人の会話を、チーフマネージャーこと岡田さんが、ただ笑って聞いていた。
長文、失礼いたしました。
最後までお付き合い頂き、ありがとうございました。